三鷹駅南口 (武蔵野市、吉祥寺)、とある税理士事務所職員の日常 読書
FC2ブログ

「雪が白いとき、かつそのときに限り」

2020年01月23日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

昨年発売されて、一部でかなり話題になっていた、
陸秋槎の「雪が白いとき、かつそのときに限り」は
金沢に在住の中国人作家の書いたミステリー、
いわゆる華文ミステリーの邦訳作品になります。

日本の新本格ミステリーを好む作者が、
自身の体験を反映させて書くことができる等の
理由から書かれた長編2作目の学園モノです。

本作は、「新本格」の系譜に連なる作品らしく、
発見された死体の周囲が降り積もった雪に覆われ、
誰かが痕跡を残さず近づいて殺人をすることは
不可能と思われる「雪密室」を題材にしています。

しかし、本作の最大の特徴はそこではありません。

私が本書を読み終えて最初に強く感じたのは、
非常に情緒的な作品であるということでした。

あまり詳しく書くと大いにネタバレになりかねない、
ミステリー作品では絶対に避けるべき範囲にまで
言及してしまうことになりねないのですけれども、
特に事件の動機のところにその傾向が強く、
ここは読んだ人により大きく好き嫌いが分かれそう。

私としては、そこにこそ十代少女の感情の動き、
迷い、悩み、葛藤が表現されているように思えて、
端正かつ丁寧な文体と合わせて特に良かったです。

なお、本作に出てくる学生等が、会話の中に
中国の古典や欧米の哲学書その他からの
引用を普通に挟み込んでくるところは、
これはいかにも中国らしいなと感じました。

日本人は、特に最近はそういう会話をやらないから、
違和感を覚える人もいるかもしれませんけれど、
中国の人と会話をしていると、結構さらりと、
古典からの引用が入ってきたりするんですよね。

文化の違いでもあり、それも面白いところです。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「悪魔のトリック」

2020年01月10日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

この著者の作品はフォローすることにしているからと
いうような少し消極的な理由で購入した青柳碧人の
「悪魔のトリック」は、ちょっと特殊な設定のミステリー。

作品タイトルの「悪魔のトリック」というフレーズから
皆さんがどういうものを想像するかなのですけれども、
普通に考えれば、通常の人間は思いつかないような
大胆かつ悪辣で残酷非道な驚愕のトリックだったり
緻密で完璧なアリバイだったりするようなものを
指すのだろうと思われるのではないでしょうか。

で、それを、主人公である刑事もしくは探偵が
切り崩して真相を明らかにする作品なのだろうと。

なる程、それならばこういうタイトルになるのも
理解できるかもしれませんけれども、しかし、
本作に関してはその想像は間違いなのです。

ここでいう「悪魔」とは、まさしく文字通りの「悪魔」、
すなわち英語で言うところの Devil なのです。

魂と引き換えに願いをかなえる的なアレですね。

それってどういうことなんだといぶかしく思う人も
いらっしゃるでしょうから、粗筋を紹介してみます。

麻薬の取引現場を押さえそこねて負傷した新宿東署の刑事有馬孝信は、職場復帰後、不気味な刑事九条一彦の下で特別任務を命じられる。九条によれば、この世には悪魔が存在し、強い殺意を抱いた人間に一つだけ“悪魔の力”を授けるという。草木を腐らせる力、水を宙に浮かせる力……不可思議な力と殺しはどうつながるのか?超難解、離れ業トリックに刑事二人が挑む!


ただしこれを見て、要するにファンタジー要素を
大胆に導入しているのかと考えられたならば
それも間違いで、本作は体裁としてはあくまで
普通のミステリーであり、殺人があって、
探偵役が謎解きをすることで犯人が誰なのかを
暴くというオーソドックスな流れになっています。

もっとも、殺人のトリックに物理法則や科学常識を
無視する「悪魔の力」なんていうものが絡む時点で、
それは通常の謎解きミステリーでは無いだろうと
いうことになってしまうのは否定できないのですが。

それをミステリーとして掟破りの反則と捉えるか、
たまにはそういう「ヘンな」作品もいいとするか、
ミステリーの作法には特に拘りの無い私としては、
これはこれで面白くていいかなという感じです。

ラストが少しあっさりしすぎかなとは思いましたが、
まずまず、楽しく読ませていただきました。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「叙述トリック短編集」

2019年12月28日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

収録される全編を叙述トリックものに限定する
という趣向の短編集のミステリー小説が、
似鳥鶏の、その名も「叙述トリック短編集」。

発売されたのは結構前の昨年の9月なのですが、
その時に石黒正数の表紙イラストにもちょっとした
仕掛けが施されたことが話題になったりもしたので、
あるいはご存じの人もいらっしゃるかもしれません。

叙述トリックと言われてもピンと来ない人の為に、
冒頭で作者がしている説明を引用つつ説明します。

つまり、「「叙述トリックとは」、小説の文章そのものの
書き方で読者を騙すタイプのトリック」であり、かつ、
「叙述トリックは「作者が読者に対して仕掛けるトリック」
という言われ方も」するものということになります。

例えば作中に田中薫というキャラクターが登場したとして、
いかにも男性であるような状況を重ねて誤読を誘引しつつ、
実は文中の描写では男性とはどこにも書いておらず、
実際には田中薫が女性であることが事件の重要な
カギとなってくるというようなパターンのことを言います。

基本的に読者は作中の記述、特に地の文の記述は
信用する(というか、そうしなければ小説において
物語を語るということが成立しにくくなってしまいます)
ものだとうことを逆手に取ったトリックなわけですが、
故に、卑怯だとかズルイだとか言われてもしまうわけです。

本作は更にそれを逆手に取っているというか、
最初からこの作品は叙述トリックを使用していますよ、
ということを宣言しておけば問題なかろうという、
そういう方向で書かれた作品ということになります。

叙述トリック作品は、それを紹介するにあたって
迂闊な説明をしてしまうと、それだけで作品として
一番のキモであるトリックをバラしてしまいます。

特に、間違っても未読の人に対して「この作品は
叙述トリックを使っているんだよね」というようなことを
言ってしまうのは本来は大変なNGなのであって、
この作品は容疑者その他のキャラの言動だけではなく、
それ以外の地の文章などでもこちらを引っ掛けようと
してくるぞという覚悟をしながら読者が読むことで、
本来であれば心地よく騙されてくれるはずのところで
騙されてくれないというのは、作者と編集者の
意図や苦労を無にしてしまうことにもなってしまいます。

そこを敢えて最初に宣言してくる。

必然的に読者は「ならばお手並み拝見」という
スタンスで読み始めることになるわけであり、
その勝負、果たしてどちらが勝っているのか、
ということの答えは、できれば実際に本作を
読んでみて確認していただきたいと思います。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「ひぐらしふる 有馬千夏の不可思議なある夏の日」

2019年12月15日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

これまでに読んできた作品がどれも面白いので、
これは過去に発表してきた作品も色々と
読まねばならないかと思っている彩坂美月.。

その彩坂美月の「ひぐらしふる」を読了しました。

今度はどんな物語で楽しませてくれるのだろうかと
ワクワクすると同時に、2009年のデビュー作に続いて
書かれた第2作品ということで、まだまだ技術的には
未熟なところもあるのかなと思いつつ読みだしました。

公式の粗筋は、こんな感じです。

公衆の面前で突如として姿を消した親子連れ。山のてっぺんでUFOに連れ去られた幼馴染。実家に帰省した有馬千夏の身の回りで起こった不可思議な事件は、はたして怪現象なのか、故意の犯罪なのか。そして、彼女の前にたびたび現れる“自分そっくりの幻”の正体とは。予測不能、二重三重のどんでん返しが待ち受ける、ひと夏の青春ミステリー。


形式としては連作短編の日常の謎系の
ミステリーということになるでしょうか。

さて、そんな「ひぐらしふる~」なのですけれども、
ネットで他人の感想を少し見てみた感じだと、
ミステリーとしての本作の評価は綺麗に2つに
分かれているというように感じられました。

つまり、ミステリーとしてはちょっとという人と、
いいミステリーだ、という人がいるということです。

しかし、仮に本作をミステリーとしてではなく、
一種の青春小説的なものと考えるのであれば、
結構面白い作品だといえるのではないでしょうか。

わりと簡単に展開が読めるところもありますが、
それが面白さを損なっていることもありません。

むしろ彩坂作品に対して私が求めているのは、
この青春路線的なものなので、なかなかに
満足させてくれる1冊だったと言っていいでしょう。


カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「横浜大戦争 明治編」

2019年12月02日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

蜂須賀敬明の『横浜大戦争 明治編』は、
2018年の頭に紹介した作品の続編であり、
タイトル通り、舞台を明治時代に移した作品です。

前作は横浜市にある18の区を担当する土地神が
横浜ナンバーワンを巡って争うという内容で、
ご当地ネタを盛り込んで繰り広げられる
敢えて言ってしまうと、一発ネタの作品でした。

それの続編でまた同じことを繰り返しても
意味が無いですよねので文明開化の
明治時代に時代設定を変えてきたわけで、
確かに明治時代は今の横浜とは行政の区割りが
全然違っていたから、それで新ネタはできるとして、
基本的に二番煎じであることに変わりありません。

そういう意味で、書店で最初に見かけた時から
これはちゃんとした作品になっているのだろうかと、
ちょっとした心配を覚えていたのは否めません。

しかし、それはとりあえず杞憂であったようです。

物語は明治時代の横浜を舞台にしているのですが、
その時代の土地神達が争うという形式ではありません。

現代から、西区、中区、保土ヶ谷区の3人の神が
タイムスリップして、そこで土地神の神器を巡る
トラブルに巻き込まれるという物語になっていて、
他の区の土地神はほとんど出てきませんでした。

前作と今作とではかなり読み心地が違いますが、
これはこれで、何だか普通の作品になってしまった
という印象はありますが、面白かったです。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」

2019年11月20日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

単行本版が発売後に話題になっていた頃に
一度読んでみたいなとずっと思っていた本が
文庫化されたのに遅まきながら気が付いたのが
「最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常」。

これは著者である二宮敦人さんの奥様が
東京芸術大学の彫刻科に在学していたことを
きっかけに書かれたノンフィクション作品です。

日常生活の中で触れる奥様自身の言動、
そして奥様から聞かされる友人・知人の
エピソードを飲みの席で編集者に話したら、
これは面白いということで1冊の本にまとめる
ことになったらしく、なる程、これは確かに
面白くて話題になったのも納得できる内容です。

藝大に限ったことではなく、東大でも京大でも
あるいは他の大学でも、才能のある学生はみな
どこかしら強烈な個性を持っていると思います。

それが分かりやすく表に出ているものであるのか、
あるいは内面に隠れているものであるのか、
それは人によって違うでしょうし、その個性が持つ
一般人とのズレ的が、どれくらい目立つものなのかも
人によって千差万別でマチマチであることでしょう。

例えば法学部や医学部等といった学部比べると、
それが音楽学部にしろ、あるいは美術学部にしろ、
いわゆるアーティストの世界を目指すような人が
(必ずしも学生の全てがそうでも無いでしょうが)
通う藝大の方が、そうではない私達にしてみれば
新鮮で、今まで自分が知らなかった世界の事を
覗き見れる気分になれ面白いのはあるのでしょう。

物珍しい職業を題材にした「お仕事小説」が、
それだけでちょっとしたアドバンテージを
手にすることができるようなものです。

文庫になって手軽に読めるようになりましたし、
藝大に少しでも興味がある人にお勧めの本です。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「家庭教師は知っている」

2019年11月07日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

ちょっとばかり精神的に疲れて参っている時に
気軽に読めるミステリーでも行こうかなと思って
積読本の山から引っ張り出してきたのが、
青柳碧人の 「家庭教師は知っている」 でした。

ところが、これ、実際にページを捲りだしてみると、
全然気軽に読める作品ではなかったのです。

ライトタッチの作品ばかりが青柳碧人ではない、
というのはこれまでの読書体験で分かってましたが、
家庭教師派遣業者に勤務する主人公ということで
別作品の「JSS進学塾」シリーズが想定されて、
あんな感じの読み心地だと思って読み始めたのが、
大きな勘違い、間違いだったということでしょう。

つまり、本作、かなりシリアスで重い作品なのです。

キーワードとなるのが「児童虐待」であるといえば、
おそらく理解していただけるのではないでしょうか。

これで仮に読んでいてつまらないと感じられる
内容であったのならば、途中でページを進めるのを
中止して別の本に取り掛かっていたかもしれません。

が、困ったことに、本作、実に面白いのです。

なので気が付けば、ちょっとダウナーな気分の時に
決して爽快とはいえない読後感の作品を
熱心に一気読みすることになってしまいました。

面白かったから、それはそれではあるのですが。

作者が抱いている問題意識も良く伝わりましたし、
説教くさくならずに上手い具合に落とし込んでいて、
青柳碧人らしい読みやすさも伴っています。

先に書いたように、気楽に読める作品では無い
ということを踏まえた上で、それでも興味があるから
読んでみようという人には、大いにお勧めです。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「叡智の図書館と十の謎」

2019年10月25日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

寡作故になかなか新刊が出ない多崎礼。

そんな彼女の久し振りの新作……といっても、
発売自体は今年の2月でしたので半年以上前の
話になるのですが、ともあれ、その新刊が、
「叡智の図書館と十の謎」という作品です。

これは、全部で10個の短編を連ねることで
全体的に1つの大きなストーリーとなるという
重層的な構造を持つ作品となっており、
作者のデビュー作である「煌夜祭」と、
そういう点では似ているかもしれません。

しかしながら両作品の読み心地は異なっており、
それは多崎礼がデビューからこれまでに
積み上げてきたキャリア・経験の故だけではなく、
作品のジャンル違いうもあってのことなのでしょう。

詳しいことはネタバレになるので書きませんが、
本作は読みはじめに感じるジャンルと
読み終えて感じるジャンルが大きな変化します。

それは作品に統一感が無いとか迷走しているとか、
そんなマイナスなことではなくて、物語上の必然性から
そういう形を選んで書かれているのであって、
すなわち、読者を驚かせる為の仕掛けでもあります。

つまり、物語の最大のミソがそこにあるわけですね。

この作品半ばからの展開を是とするか非とするか、
それは読む人それぞれの感覚や好みの問題ですが、
個人的には「ほほう、そういうことであったのか」と
ニヤリとさせてもらったという感じです。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」

2019年10月13日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

相沢沙呼の「medium 霊媒探偵 城塚翡翠」を読了。

本作に関しては、ミステリーだからという以上に、
色々と仕掛けが施されている作品だけに
その紹介もなかなか難しいのですけれども、
ひとまず、公式の粗筋を引用してみることにしましょう。

こんな感じです。

推理作家として難事件を解決してきた香月史郎(こうげつしろう)は、心に傷を負った女性、城塚翡翠(じょうづかひすい)と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。


あらかじめ翡翠の霊媒能力によって犯人が誰かの
目星がついている状態でそれを警察に納得させる、
翡翠が指摘する犯人が犯人であることを
断定できるだけの証拠などを集めていくことで
論理だてて構築していくという体裁のミステリーです。

「すべてが、伏線。」という帯の宣伝文句は
さすがにちょっと言い過ぎかもしれないものの、
最終章の展開には率直にドキドキさせられました。

これはミステリー作家としての相沢沙呼としては
最高傑作と言ってしまって差し支えなさそうです。

ネット上でも絶賛の声が溢れかえっていますが、
具体的にどこがどう面白くてお勧めなのかを
紹介をしていこうとするとネタバレになって
いかざるを得ないタイプの作品であることから、
皆「翡翠ちゃんかわいい」としか言えないのが……

ちなみに、ネットの感想を検索して見ていたら、
相沢沙呼の作品で殺人が出てきたのは、
実は本作が初めてだということを知りました。

これまでの作品は網羅して読んでいるのだから、
自分で気が付かなければいけなかった、かな?



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「母になる、石の礫で」

2019年09月30日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

どこかで一度読まなければいけないと思っていた
倉田タカシの「母になる、石の礫で」という作品を、
ふと思い立ってネット通販で購入いたしました。

この作品の内容をどう説明しようかというのが、
実は悩ましいところで、端的に言ってしまえば
簡単なもののそれでいいのか少し疑問があるので、
とりあえず、裏表紙の粗筋を引用してみます。

3Dプリンタが驚異的深化を遂げ、建築物から料理まで直接出力出来る未来。禁断の実験に手を染めるため地球を脱出したファナティックな12人の科学者は、火星と木星の間の小惑星帯にコロニーを建設していた。<始祖>と呼ばれる彼らに産み出された<二世>の虹、霧、針、そしてその下の<新世代>を含む3人は、コロニーを離れ自らの<巣>を建設していた。あるとき虹は、母性の地球から威圧的に近づいてくる巨大な構造物に圧倒される。虹たちは対策を検討するため7年ぶりに<始祖>と再会するが、それは過去に2名の<二世>を失った事件に端を発する確執の再燃でもあった――未来的閉塞環境で己の存在意義を失った異形の若者たちの惑いと決意を描く本格宇宙SF


うーん、実際これで間違いではないのですけれど、
誤解を招く紹介文のような気もしないでもありません。

本作が、<二世>と<新世代>の4人が自らの
アイデンティティーを求める物語というフレームを
持つ物語であることは、明らかな事実です。

その上で、上記の粗筋から期待してしまうような
地球と<始祖>達の対立やディストピア的な未来の
地球社会といった要素が描かれていたかというと、
実のところ、そういうものはほとんど感じられない
というのが正直な感想であったりもするのです。

作者が一番描きたい部分にのみフォーカスした
一点突破作品だと考えればいいのかもしれません。

それはそれで、アリといえばアリだとは思います。

しかしながら個人的な好みで考えるのであれば、
もうちょっとその辺りも明確に示せばいいのにな
と感じてしまわずにはおれないという意味で、
ちょっとばかり残念さも感じた作品でした。

とはいえ、生体までもが出力できるようになった
3Dプリンタや「母」という言葉・概念の使い方等、
刺激的なところも多かったのも確かなことです。

微妙に評価に困る作品、というのが結論でしょうか。


カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

事務所のHPはこちらから
プロフィール

管理者:tap

武蔵野市吉祥寺にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める税理士の卵のブログです。
仕事やプライベートを通じて思ったことなどを綴っています。


[ tapのプロフへ ]
税法・会計etc. 過去ログ倉庫

過去に書いてきたエントリの内、税法や会計などに関する話題で特に大事だろうと思うものを抜粋して別途掲載している、部分的ミラーサイトのような別ブログです。

最近投稿した記事

  全タイトルを表示
月別アーカイブ
カレンダー
ブログ内検索
カテゴリ一覧
リンク

響金太郎のラジオブログ
「ジバ☆ラジ」

高校時代からの付き合いで、今は九州博多で演劇の夢を追う友人、響金太郎のブログ。
わざわざ言わなくてもそれくらい分かるよ、と言われるかもしれませんが、芸名です。
どこかで見かけたら、応援してあげてください。


私の尊敬する経営者の一人、㈱AGTの社長が書かれているブログです。
写真もふんだんに使われていますし、見て楽しく、読んで楽しいブログだと思います。
私も、いつかこんなジュエリーを誰かに贈る日が来るのでしょうか……?



国税庁

税務行政に関する企画・立案。国税局・税務署の指導監督省庁です。


国税庁タックスアンサー

各種税金の仕組みや届出書、様式の説明、用語解説や各地の税務相談室の案内を記した国税庁サイト内のコーナーです。キーワード検索もできます。


内閣府

Topページの下部に、政府税制調査会のページへのリンクがあります。そこに掲載されている議事録などから、今後の税制改正の動向を知ることができます。


国税不服審判所

国税に関する法律に基づく処分に係る審査請求について裁決を行い、納税者の正当な権利利益の救済を図る機関です。ネット上で判例集が利用できます。



宮内会計事務所

吉祥寺にある税理士事務所。私の勤務先です。

(別サイト)

上記勤務先の、新規起業者向けの特別サイトです。



最新のトラックバック
RSSリンクの表示
FC2ブックマーク
Ranking
QRコード
QR
管理者
  • 管理画面