「戒名探偵 卒塔婆くん」
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。
高殿円の 『戒名探偵 卒塔婆くん』 は、
以前から読んでみたいと思っていた1冊。
のほほんと生きる金満寺の次男春馬は、金に汚く横暴な住職代行の兄に無理難題をふっかけられてばかり。今日も古い墓石の身元を探している。手がかりには石に刻まれた、たった数文字の戒名だけ――!?だが、春馬には同じ高校に通う「戒名探偵」――外場薫という切り札があった。仏教に異様に詳しい彼は、墓石を見ただけですらすらと身元を言い当てるのだ。仏教界の謎を外場=卒塔婆くんが解き明かす日本初戒名ミステリー。
というのが裏表紙にある粗筋で、
戒名から謎を解くという構図がまず
どういうことだか分からないので、
そこに大きな興味を抱いていました。
で、実際に読んでみての感想ですが、
「こう来たか」というのが大きいでしょうか。
収録されている3つの短編と1つの中編は
必ずしも全てがガッツリと戒名に絡んだ
謎解きが発生しているわけではありません。
しかしどれも戒名が関係してるのは確かで、
なる程これは「戒名探偵」で看板に偽りなしです。
登場しているキャラクターも、ちょっとばかり
カリカチュアライズが過ぎるのではと
感じるところが無いではなかったものの、
そこも含めどれもなかなかに魅力的でした。
シリーズ化して、もうちょっとこの世界を
楽しませて欲しいと感じる作品ですし、
それができるネタはすでに本作の中で
振られているので、あとは、戒名や仏教に
関係する謎をどれくらい作れるかと、
作者のスケジュール次第というところでしょうか。
期待はしつつ、気長に待ちたいと思います。