JR中央線 三鷹 (武蔵野市、吉祥寺)、とある所属税理士の日常 読書
fc2ブログ

「戒名探偵 卒塔婆くん」

2022年03月27日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

高殿円の 『戒名探偵 卒塔婆くん』 は、
以前から読んでみたいと思っていた1冊。

のほほんと生きる金満寺の次男春馬は、金に汚く横暴な住職代行の兄に無理難題をふっかけられてばかり。今日も古い墓石の身元を探している。手がかりには石に刻まれた、たった数文字の戒名だけ――!?だが、春馬には同じ高校に通う「戒名探偵」――外場薫という切り札があった。仏教に異様に詳しい彼は、墓石を見ただけですらすらと身元を言い当てるのだ。仏教界の謎を外場=卒塔婆くんが解き明かす日本初戒名ミステリー。


というのが裏表紙にある粗筋で、
戒名から謎を解くという構図がまず
どういうことだか分からないので、
そこに大きな興味を抱いていました。

で、実際に読んでみての感想ですが、
「こう来たか」というのが大きいでしょうか。

収録されている3つの短編と1つの中編は
必ずしも全てがガッツリと戒名に絡んだ
謎解きが発生しているわけではありません。

しかしどれも戒名が関係してるのは確かで、
なる程これは「戒名探偵」で看板に偽りなしです。

登場しているキャラクターも、ちょっとばかり
カリカチュアライズが過ぎるのではと
感じるところが無いではなかったものの、
そこも含めどれもなかなかに魅力的でした。

シリーズ化して、もうちょっとこの世界を
楽しませて欲しいと感じる作品ですし、
それができるネタはすでに本作の中で
振られているので、あとは、戒名や仏教に
関係する謎をどれくらい作れるかと、
作者のスケジュール次第というところでしょうか。

期待はしつつ、気長に待ちたいと思います。


カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「かがみの狐城」

2022年03月05日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

これは絶対に読んでみたいなと思ったのに
実際に読むのはかなり遅くなってしまった、
辻村深月の『かがみの孤城』上下巻。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような建物。そこにはオオカミの面をつけた少女が待ち受け、こころを含め、似た境遇の7人が集められていた。城に隠された鍵を探すことで願いが叶えられるという。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。本屋大賞受賞作


という上巻の粗筋が示しているように、
不登校となった中学生達が全部で7人、
不思議な空間に呼び出されて互いに
交流をしつつ1年間を過ごす物語です。

当然、彼女等、彼等が不登校となった
その原因、学校でどのような人間関係に
巻き込まれたのか、周囲の人達の
反応はどうだったのか、というようなことを
これでもか、と書いてきそうですよね。

そこで構えてしまっていたことが昨年3月の
文庫化と同時に本作を購入していながらも、
今まで読まずにいた大きな理由になります。

つまり、読む側にも一定の覚悟なければ、
辛いだけになるのではないかと思たのです。

しかし、実際に読んた本作は、良くも悪くも、
そんな私の予想が外れたものであり、
扱われているテーマや物語の方向性が
違っていたというわけではありませんが、
全体的なトーンが基本的にそこまでには
赤裸々なものでは無かったのでした。

ファンタジックな設定が、ある意味、
オブラートで全体を包み込むように
なったからなのか、あくまで主人公の
一人称の語り口で描いた作品だからか。

いずれにせよ、作者の狙い、執筆意図は、
そういう方向では無かったということでしょう。

結果的に、事前に身構えていた分だけ
物足りなさを覚えたりもしましたが、
そこを抜きにして考えのであれば、
様々な賞を獲得したのも納得の佳作です。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「君の話」

2022年02月15日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

昨年11月の発売時に少し話題になったのを
ネットで何となく見ていて興味を覚えたことから、
三秋縋の『君の話』を購入して読みました。

二十歳の夏、僕は一度も出会ったことの無い女の子と再開した。架空の青春時代、架空の夏、架空の幼馴染。夏凪灯花(なつなぎとうか)は記憶改変技術によって僕の脳に植え付けられた<義憶>の中だけの存在であり、実在しない人物のはずだった。「君は、色んなことを忘れてるんだよ」、「でもね、それは多分、忘れる必要があったからなの」。これは恋の話だ。その恋は、出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた。


裏表紙に掲載されたこの粗筋を読んだだけでは
少しわかりにくいかもしれないのですけれども……

つまり、本作の世界ではテクノロジーの進歩により、
ナノロボットを体内に服用することで人の記憶から
トラウマ化していたりすることから不要であると
考える記憶を削除したり、本来はこうありたかったとか、
精神安定の為にはこうであった方が望ましいと
考えられるような偽の記憶<義憶>を新たに
書き込むというようなことが可能になっているのです。

物語の前半の視点は、「僕」こと千谷千尋。

甲斐甲斐しく接してくる灯花(と名乗る女性)に対し
千尋が抱くことになる疑念、自分は詐欺師に
騙されているのではないかと思う一方で、
どこか彼女のことを信じたいとも思ってしまう、
そんな揺れる二律背反な感情が描かれます。

そんな感じで前半では少々淡々とした展開を
見せていた本作は、灯花の視点が入ってくる
後半になって、その様相をがらりと変えます。

そこから物語は加速度的に面白さを増し、
そして静謐なラストを迎えるのです。

やりようで幾らでもリリカルに、あるいはウェットに
でき得る題材とストーリーを有していつつ、
その路線には行かなかったというのは、
一人称で語られる物語でありつつも
どこか状況を客観視しているような語り口で
綴られていることが大きな理由でしょう。

それが、本作の個性、魅力になっています。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「超動く家にて」

2022年01月26日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

宮内悠介の短編集、『超動く家にて』は
以前から読んでみたかった本の1つであり、
肩の力を抜いて読むことのできる1冊です。

雑誌 「トランジスタ技術」 のページを “圧縮” する架空協議を描いた 「トランジスタ技術の圧縮」、ヴァン・ダインの二十則が支配する世界で殺人を目論む男の話 「法則」 など16編。日本SF大賞、吉川英治文学新人賞、三島由紀夫賞、星雲賞を受賞し、直木・芥川両賞の候補となった著者の傑作快作怪作を揃えた自選短編集。あとがき、文庫版オリジナルのおまけも収録。


今の日本のSFだったりファンタジー小説界隈で
こういう短編集が出るのはあまり無いことですし、
本作は、いわゆる「おバカ」路線の作品も
収録されていることや、あちこちで結構評価が
高かったこともあって読み始める前から、
かなりの興味を持っていました。

短編集といっても中編に近いようなものが
4~5作収録されたようなものから、
ショートショートがたくさん収録されたものも
あるでしょうが、本作は約350ページの厚さで
収録が16編で、1つ1つの作品はそれぞれ
大体10数分で読み切れるような感じです。

なので、例えば空いた時間に毎日少しずつ
読み進めるということも簡単でしょう。

問題は、収録作品のクオリティーです。

16作品の中に2つか3つ面白いのがあれば
買った側としてはそれで充分成功ですが、
本作は、そんなレベルを超えて良作揃いでした。

私が特に気に入ったのは、「文学部のこと」
「アニマとエーファ」「エターナル・レガシー」
「法則」「星間野球」の5編ですが、その他の
11編も面白く、これはちょっとアレだな、
というようなものは1つもありませんでした。

宮内悠介の作品はこれまでにそんなに
多くを読んでいるわけではありませんが、
こうなると、マジメな長編も色々と
読んでみなければならないかもしれません。


カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「同志少女よ、敵を撃て」

2022年01月06日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

今回紹介する本は、少々「今更感」がありますが、
選考委員の全員が5点満点をつけたという
第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作、
逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』です。

独ソ戦が激化する一九四二年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために……。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?


という粗筋の本作。

全480ページ弱の物語はゆったりと始まり、
25ページも進まないうちに急展開を迎えます。

敗走中のドイツ軍による故郷の村への襲撃と
村人への暴行、凌辱と虐殺、そしてそこから
怒涛の展開が始まって行くのです。

ひとたび本書を手にしたならば読者は、
私がそうであり、そして既読の人達の
ほとんどがおそらくはそうであったように、
ページを捲る手が止められないことでしょう。

そして、そのハイライトは間違いなく、
セラフィマが復讐を果たす最終第六章の
ケーニヒスベルクの戦いにあります。

その前段階、一番ボリュームのある第四章の
スターリングラード攻防戦も実に面白く、
感情を容赦なく揺さぶりながら読ませてくれます。

というよりも、本作は、プロローグ、
第一章から第六章、エピローグの
全てが素晴らしく良いと言い切れます。

人は何故生き、何故死ぬのか。

理不尽な暴力で生活の全てを奪われ、
復讐の力を得て仇討ちを誓った主人公が、
手にしたその力(狙撃銃)を使って
撃ち抜くことになるのは誰なのか。

彼女が戦い、銃で人を撃ち続けた理由、
ドイツ兵を狙撃して殺していくことで喪うもの、
その果てに手にすることになるものとは。

審査員全員が満点を付したということが、
それはそうだろうなと頷くしかないような
圧倒的な読書体験が、ここにあります。

多くの人に読まれるべき傑作だと断言できます。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「柘榴パズル」

2021年12月23日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

少しずつ著作を読んでいる彩坂美月の
『柘榴パズル』は2015年に単行本が
発売された作品が、文庫化されたもの。

「この夏が、永遠に続けばいいのに」。とぼけたお祖父ちゃん、明るいお母さん、クールなお兄ちゃん、甘ったれの妹。十九歳の美緒を囲む、仲のいい家族の日常。身近で起こる奇妙な事件は、山田家の皆が力をあわせて謎を解く。そんな一家に、怪しい影が忍び寄り――。ある家族のひと夏を描いたミステリー連作短編集。


全部で5つのエピソードで起きる事件は、
殺伐としたものでは無く、基本的には
いわゆる「日常の謎」を巡るもの。

本作では、主人公を取り巻くのは一見すると
普通の非常に仲の良い家族なのですが、
描写の端々に滲み出る不穏な空気というか、
これは何だろうかと引っかかるところが
あるのが大きなポイントとなっています。

それが何故なのか、どういうことだったのかは、
最終エピソードを読めば明らかになります。

こういうの構造は常套手段であるというか、
連作短編としては定番の流れですから、
読み始めてからずっと、これ等の違和感は
最終的などんでん返しに繋がるのだろうと
思っていましたし、ある程度の予想もできました。

ですので、山田家に隠された真実の内容には
そこまで意外性は無かったかもしれません。

とはいえ、オチが読めることがマイナス方向に
働いてはおらず、キャラクターも良いですし、
作品全体の雰囲気もまずまずと言えます。

敢えて難点を上げると、各章の冒頭に
掲げられた事件が、作品全体の「真実」に
直接的にそんなに関係してこないところが、
どうなんだろうという気がしないではありません。

しかし、ミスリードを誘う為にこういう形に
したのかなというようにも思えるので、
この辺りは、好みの問題かもしれません。


カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「グランド・ミステリー」

2021年12月11日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

奥泉光の『グランド・ミステリー』を読了。

作品としては一部でかなり有名なであり
名作とか傑作とか言われてもいるので、
是非とも読んでみたいと思っていた作品です。

昭和16年12月8日の真珠湾攻撃に参加した
潜水艦での謎めいた艦長室の金庫盗難と、
同じく真珠湾攻撃に参加した空母蒼龍で
発生した攻撃から着艦したパイロットの
操縦席での服毒死という2つの事件。

本作はそれを起点として太平洋戦争の
戦時下における独特の空気感の中で
様々な謎が錯綜し、最後は硫黄島守備隊の
玉砕にて締めくくられるという構造の物語です。

ジャンルを分けるの難しいのですが、やはり、
タイトルにもあるミステリーが妥当でしょう。

とはいえ、単なるミステリーにとどまらず、
マジックリアリズムやSF、戦記的要素、
その他様々なものがてんこ盛りに
今残一体となっている作品でもあります。

そうなると、さながら極彩色の一大絵巻に
なっていきそうにも思えるところですが、
そこはやはり太平洋戦争を題材にしていて、
初戦の奇襲成功から後、ミッドウェーでの
大敗を経てどんどんと追い詰められていく
大日本帝国の姿が描かれていることから、
そういう豪華絢爛さは全く生じませんでした。

どちらかといえば最初から最後まで
押さえられた閉塞感のようなものが
漂っている作品だと言えそうです。

中盤からの展開は結構ダイナミックでもあり、
それが終盤に向けてどう収束してくるのか
と思って読み進めていたのですが、
なる程、こういう感じで来ましたか。

エピローグで描かれたラストシーンは、
大団円とまでいえるかどうかはともかくとして、
わりと爽やかな読後感をもたらすものでした。

かなり面白かったといっていいでしょう
(奥泉光の、饒舌な文体は好きですしね)。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「マーダーボット・ダイアリー ネットワーク・エフェクト」

2021年11月28日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

「弊機」となのる人型警備ロボットが主人公である
「マーダーボット・ダイアリー」シリーズの2作目が、
『マーダーボット・ダイアリー ネットワーク・エフェクト』。

【ネビュラ賞・ローカス賞受賞】かつて大量殺人を犯したとされたが、その記憶を消されていた人型警備ユニットの“弊機”。紆余曲折のすえプリザベーション連合に落ち着くことになった弊機は、恩人であるメンサー博士の娘アメナらの護衛として惑星調査任務におもむくくが、その帰路で絶体絶命の窮地におちいる。はたして弊機は人間たちを守り抜き、大好きな連続ドラマ鑑賞への耽溺に戻れるのか?ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞・日本翻訳大賞受賞&2年連続ヒューゴー賞・ローカス賞受賞『マーダーボット・ダイアリー』、待望の続編!


というのが今回の公式の粗筋となっていて、
前回が連作短編集だったのに対し
今回は1冊丸々が長編で1つの物語です。

解説などを除いた本編で約530ページ、
それも創元SF文庫の小さい活字でなので、
並の文庫なら3~4冊にもなろうかという
なかなかのボリュームなのですですけれど、
今回も前作同様に非常に面白かったので、
さくっと読み終わってしまいました。

この「ネットワーク・エフェクト」の物語は
要約してしまえばそんなに複雑ではなく、
もしかしたら50ページもあれば端的に
語り切ってしまうことができるかもしれません。

しかし実際には本作は530ページある。

つまり無駄や無意味な描写が多いのでは、
と思われるかもしれませんけれども、
その冗長な部分こそ本作の面白さがあり、
むしろ530ページが800ページぐらいに
なってしまっても大歓迎なくらいです。

「弊機」のとぼけた感じが今回も面白く、
多いの楽しく読ませてもらいました。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「水野瀬高校放送部の四つの声」

2021年11月16日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

前作である『読書嫌いのための図書室案内』
が結構面白かったという記憶が残っていた為に
これも読まなければとずっと思い続けていた
青谷真未の『水野瀬高校放送部の四つの声』。

校庭に響いたマイクの音に心奪われ、衝動的に放送同好会を設立した高校三年生の巌泰司。一人気ままに活動するはずが、NHK杯全国高校放送コンテスト出場を目指す一年生の赤羽涼音と白瀬達彦が入部してくる。さらに競馬実況女子の二年生・南條梓も加わり放送“部”として歩み始めることに。だが四人はそれぞれ言葉にできない悩みを抱えていた。友達、華族、将来――ままならない思いを声に託した高校生たちの青春群像四編


という裏表紙の粗筋で示されているように、
『読書嫌いのための~』と同様に本作も、
高校の部活を舞台にした青春小説です。

ただ、日常の謎を扱うライトミステリーだった
『読書嫌いのための~』に比べ今回の作品は
謎解き要素は一切、入っておらず、つまり、
より「青春小説」であることにフォーカスした作品、
そちらにシフトしてきた作品だと言えるでしょう。

内容的にもうちょっと深く突っ込んでいっても
良かったかなと感じる部分もあったものの、
放送部のメンバーそれぞれを主役にした
4つの章はどれも面白く読後感も良かったです。

こうなると作者にはこれからもハヤカワ文庫で、
様々な文系部活を題材にした青春小説を
シリーズとして出して欲しいなと思えてきます。

ネタがどこまで続くのかという問題はありますが、
そう感じるくらいに、内容のいい作品でした。


カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

「火星へ」

2021年11月03日  
JR中央線、三鷹、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める所属税理士です。

メアリ・ロビネット・コワルの『火星へ』上下巻は
昨年発売された『宇宙へ』上下巻の続編であり、
その粗筋は次のようなものになっています。

巨大隕石の落下による環境悪化のため、急遽、人類が宇宙進出を迫られた世界。1961年、国際航空宇宙機構は月面コロニーを建設し、次なる目標を火星コロニー建設に定めていた。〈レディ・アストロノート〉として知られる計算者で宇宙飛行士のエルマは、その火星計画での初の有人ミッションへの参加を要請される。家族とキャリアとのあいだで悩んだ末に、エルマは任務を引き受けるが……。主要SF三賞受賞『宇宙へ』続篇!


こちらでは紹介しないままになってしまいましたが、
『宇宙へ』は人類の月面到達までのミッションを描き、
実際にあった女性差別を題材にした作品でしたが、
今回はその先、火星へと向かう第一次有人飛行隊の
火星までの旅を描いているというわけですね。

主人公は前作も今作も同じ女性宇宙飛行士の
エルマであり、前作が女性の社会進出に加え、
今回は人種差別も絡めてきたという印象です。

アポロ計画という下敷きがあった月飛行に比べ
参考にできる実例が無い有人火星行ですが、
そこは最大限にリアリティーを追求して
描こうとしているのが本作の特徴です。

その為に基本的に話のテイストは今回も
かなり淡々としたものとなっています。

大きなアクシデントも発生したりしますが、
ことさらにドラマティックな展開の物語を
期待して本作を手に取ると、それは少し
肩透かしを喰らう感じになるでしょうか。

しかし、話がつまらないということは無くて、
かなり楽しんで読むことができました。

魅力的なキャラクターも多いですし、
是非、『宇宙へ』と合わせて購入して
読んでみてもらいたいなと思います。





カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の紹介 ジャンル : 本・雑誌

事務所のHPはこちらから
プロフィール

管理者:tap

JR中央線、三鷹にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める所属税理士のブログです。
仕事やプライベートを通じて思ったことなどを綴っています。


[ tapのプロフへ ]
税法・会計etc. 過去ログ倉庫

過去に書いてきたエントリの内、税法や会計などに関する話題で特に大事だろうと思うものを抜粋して別途掲載している、部分的ミラーサイトのような別ブログです。

最近投稿した記事

  全タイトルを表示
月別アーカイブ
カレンダー
ブログ内検索
カテゴリ一覧
リンク

私の尊敬する経営者の一人、㈱AGTの社長が書かれているブログです。
写真もふんだんに使われていますし、見て楽しく、読んで楽しいブログだと思います。
私も、いつかこんなジュエリーを誰かに贈る日が来るのでしょうか……?



国税庁

税務行政に関する企画・立案。国税局・税務署の指導監督省庁です。


国税庁タックスアンサー

各種税金の仕組みや届出書、様式の説明、用語解説や各地の税務相談室の案内を記した国税庁サイト内のコーナーです。キーワード検索もできます。


内閣府

Topページの下部に、政府税制調査会のページへのリンクがあります。そこに掲載されている議事録などから、今後の税制改正の動向を知ることができます。


国税不服審判所

国税に関する法律に基づく処分に係る審査請求について裁決を行い、納税者の正当な権利利益の救済を図る機関です。ネット上で判例集が利用できます。



宮内会計事務所

吉祥寺にある税理士事務所。私の勤務先です。



最新のトラックバック
RSSリンクの表示
FC2ブックマーク
Ranking
QRコード
QR
管理者
  • 管理画面