相続税の2割加算
2017年04月01日

宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
亡くなられた方がいる場合に
その故人の所有していた財産を
受け継ぐ人に対して課される税金、
相続税の税率は10%~55%。
発生した相続に対しどの税率が適用されるかは
その財産の価額の総額が幾らになるかと
法定相続人の数により変わるものであり、
税額の算出方法については、ごく簡単ですが
2015年5月にこのブログでも説明しました。
この税率を高いと思うか低いと思うかは
人それぞれではありましょうけれども、
相続財産を受け継ぐのが通常の場合は
故人の家族であるということを踏まえて、
遺族の生活が維持できるだけのものが
残るように設定するというのが基本的な
相続税率の考え方になっています。
しかし、故人の財産を受け取るのは必ずしも
生計を一にしていた家族とは限りませんよね。
遺言などによって血縁関係の無い人に対して
財産が移転するようなケースではなくても、
例えば故人の弟一家だったり、甥や姪だったり、
それぞれに既に自分で生計を立てている人が
故人の財産を引き継ぐ場合だってあるわけです。
では、そのような時にも生活の維持を考慮した
税額計算を一律に適用するというのは、
果たして適正な課税と言える事なのでしょうか。
そこで出てくるのが、エントリの表題にもなっている、
いわゆる「相続税の2割加算」と呼ばれる規定です。
国税庁ホームページから説明文を引用すると、
「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって
財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族
(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)
及び配偶者以外の人である場合には、
その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する
金額が加算され」るという規定になります。
要は、故人の配偶者、両親、子(養子を含む)以外の者が
財産を取得したならば、算出税額が2割増しになるのです。
なお、この場合の「養子」は、故人の孫や曾孫が
養子縁組を受けて故人の「子」となっている場合は
含まないとされています(ただし、その孫の親が
故人より先に亡くなって、その代襲相続人となっている
場合は2割加算の適用対象外となります)。
もちろん、もともとの税額にもよりますけれども、
「2割」というのはかなり大きい額ですよね。
文章では分かりにくいでしょうから、国税庁HPの
タックスアンサー No.4157 「相続税額の2割加算」
へのリンクを以下に貼っておくことにします。
タックスアンサー No.4157 「相続税額の2割加算」
ここに掲載されている図を見ていただけば、
規定が示している2割加算の範囲が比較的
簡単に理解していただけるのではないでしょうか。
これを回避する為に何らかの対策をどうこうする
というようなものではないのですけれども、
各人の相続税額が計算されるにあたっては
そういう規定もあるのだな、ということだけ、
頭のどこかにとどめておいていただければと思います。