三鷹駅南口 (武蔵野市、吉祥寺)、とある税理士事務所職員の日常 「ヒストリア」

「ヒストリア」

2018年05月12日  
JR中央線三鷹駅、吉祥寺の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

昨年8月に発売になった池上永一の「ヒストリア」は、
キャリアが23年になる作者が書いた前作から
数えて4年振りになる13作目の小説作品です。

池上永一といえばごく1部の作品を除いて
自身の出身である沖縄を舞台にした作品を
描き続けてきた作家なわけですけれども、
この「ヒストリア」は装丁に描かれているのが、
いきなりチェ・ゲバラなのが目を惹きます。

しかし本作は彼のを描いたのではありません。

今まで沖縄戦について触れずに来た池上永一が、
満を持して描いた、大戦末期の沖縄と終戦、
駐留している米軍に用地を奪われた人々の
ボリビアへの移民といった題材を扱った物語です。

そこは池上永一作品なので、本作の主人公は
非常にバイタリティーの溢れる女性、知花煉。

沖縄戦における米軍による激しい攻撃で
自身の家族を含む故郷の村全てを失い、
マブイを落とした彼女が辿る激動の人生を
沖縄日本返還の1972年まで描く年代記、
一大絵巻であり、日系3世のイノウエ兄弟、
チェ・ゲバラ等々、魅力的なキャラクターが
登場して波乱万丈の物語を紡いでいきます。

池上永一の小説はとかく(いい意味での)暴走が
付きものなわけですけれど、本作に関しては
そこまで大きな暴走をしたという感はありません。

冷静になって振り返れば、あちこちで暴走をしていた
と気が付くのですけれど、実際に本書のページを
捲っている時にそういう意識がなかったのは、
敢えてそのようにしたのか、そうでないのか……

ともあれ、チェ・ゲバラの没後50年にして
沖縄の本土復帰45年年に発売された本作は
池上永一のこれまでの作家活動の総決算であり、
同時に、これからを占う試金石にもなった
非常に意味の深い作品ではないかと思われます。



カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

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