「シアター!2」
2011年02月28日
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
昨年の個人的ベスト10にも選んだ
有川浩の「シアター!」の続編が
先月末に発売になりました。
1巻がかなり面白かったので、
続きが出てくれないものかと願っていた作品ですし、
物語のきっかけになっている問題は
まだまだ解決されていない状態でしたから、
この刊行は実に嬉しい限り。
この「シアター!」は演劇の世界、
資金繰りに悩む小劇団を舞台にした物語で、
第1巻の冒頭で主人公が主宰する
劇団「シアター・フラッグ」は
とある事情により背負うこととなった
借金の返済資金300万円を
主人公の兄に無利子で借りることとなります。
ただし、あくまでも「借りた」のであって、
「もらった」わけではありません。
このお金、以後3年間の劇団の活動で
黒字を300万円出し、それをもって
耳を揃えて返済しなければなりません。
もともと弟に演劇の世界から
足を洗ってもらいたかったこの兄は、
返済ができなかった時には
劇団を解散することという条件を付帯してきます。
演劇の世界で食べて行くのは非常に難しく、
一部の成功者を除けばほとんど皆、
好きだから、という情熱だけを理由に
バイトで生計を立てながら
演劇を続けているといいます。
弟にはそのような不確かな生活をやめ、
もっと安定した生活を送るように
なってほしいというのは、
肉親として当然の思いでしょう。
ましてこの一家の場合は、
父親も演劇の世界にのめりこんでおり、
結局、そのまま死んでしまったのですから、
なおさらです。
これまではどんぶり勘定で
公演ごとの収益をきちんと管理把握することもなく
運営されてきた「シアター・フラッグ」は、
はたして3年間でその体質を変え、
黒字を出していける劇団になることができるのでしょうか。
と、いうのが「シアター!」の物語の骨子で、
ここに、劇団所属メンバー達の
それぞれの気持ちや恋心などが絡んで
青春群像が描き出されるという構造となっています。
登場するキャラクターがそれぞれに皆、
魅力ある造形になっている辺りは
さすが有川浩、というところでしょう。
弟に試練を課した兄も
なんだかんだで劇団の運営にあれこれと
アドバイスをしたりしているところが、
また、読後感を良いものにしてくれています。
今回の第2巻はそれぞれのキャラクターについて
色々と掘り下げを行なう1冊となっていました。
そんな中でもタイムリミットは
刻一刻と近付いてきていますし、
見事に兄の課した条件を達成できるかどうか、
実に微妙なラインで進んでいくのは
こういう話のお約束とはいえ、
やはり話を盛り上げてくれて面白いですよね。
後書きによると、おそらく本作は次の第3巻で
完結という事になるだろうということ。
展開的にも、確かに、次が終りというのは頷けるところ。
多分、次の巻まではまた1年くらいかかるのでしょうが、
その刊行を楽しみに待ちたいと思います。
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。
昨年の個人的ベスト10にも選んだ
有川浩の「シアター!」の続編が
先月末に発売になりました。
1巻がかなり面白かったので、
続きが出てくれないものかと願っていた作品ですし、
物語のきっかけになっている問題は
まだまだ解決されていない状態でしたから、
この刊行は実に嬉しい限り。
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この「シアター!」は演劇の世界、
資金繰りに悩む小劇団を舞台にした物語で、
第1巻の冒頭で主人公が主宰する
劇団「シアター・フラッグ」は
とある事情により背負うこととなった
借金の返済資金300万円を
主人公の兄に無利子で借りることとなります。
ただし、あくまでも「借りた」のであって、
「もらった」わけではありません。
このお金、以後3年間の劇団の活動で
黒字を300万円出し、それをもって
耳を揃えて返済しなければなりません。
もともと弟に演劇の世界から
足を洗ってもらいたかったこの兄は、
返済ができなかった時には
劇団を解散することという条件を付帯してきます。
演劇の世界で食べて行くのは非常に難しく、
一部の成功者を除けばほとんど皆、
好きだから、という情熱だけを理由に
バイトで生計を立てながら
演劇を続けているといいます。
弟にはそのような不確かな生活をやめ、
もっと安定した生活を送るように
なってほしいというのは、
肉親として当然の思いでしょう。
ましてこの一家の場合は、
父親も演劇の世界にのめりこんでおり、
結局、そのまま死んでしまったのですから、
なおさらです。
これまではどんぶり勘定で
公演ごとの収益をきちんと管理把握することもなく
運営されてきた「シアター・フラッグ」は、
はたして3年間でその体質を変え、
黒字を出していける劇団になることができるのでしょうか。
と、いうのが「シアター!」の物語の骨子で、
ここに、劇団所属メンバー達の
それぞれの気持ちや恋心などが絡んで
青春群像が描き出されるという構造となっています。
登場するキャラクターがそれぞれに皆、
魅力ある造形になっている辺りは
さすが有川浩、というところでしょう。
弟に試練を課した兄も
なんだかんだで劇団の運営にあれこれと
アドバイスをしたりしているところが、
また、読後感を良いものにしてくれています。
今回の第2巻はそれぞれのキャラクターについて
色々と掘り下げを行なう1冊となっていました。
そんな中でもタイムリミットは
刻一刻と近付いてきていますし、
見事に兄の課した条件を達成できるかどうか、
実に微妙なラインで進んでいくのは
こういう話のお約束とはいえ、
やはり話を盛り上げてくれて面白いですよね。
後書きによると、おそらく本作は次の第3巻で
完結という事になるだろうということ。
展開的にも、確かに、次が終りというのは頷けるところ。
多分、次の巻まではまた1年くらいかかるのでしょうが、
その刊行を楽しみに待ちたいと思います。