武蔵野市(三鷹市)吉祥寺、とある税理士事務所職員の日常 税金・税法

消費税のリバースチャージ方式 その1

2015年11月01日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

「国境を越えた役務の
提供に対する消費税の課税」

について抜本的な見直しが
行われてから1ヶ月が経過しました。

これは、インターネット等の電気通信回線を介して
行われる各種役務の提供に関する消費税の取り扱い
を、
国内事業者と海外事業者との間で生じていた
課税の不公平が是正されるような形で変更したもので、
具体的には海外サーバーからの電子書籍、音楽、
広告等の、いわゆるデジタルコンテンツの配信や
ゲームやアプリといったもののダウンロード、
クラウドサービスの利用等が対象となります。

これはかなり大きな改正であるにも関わらず
これまでこのブログで紹介していませんでしたので、
遅まきながらまずは今回のエントリーを使って
その概要を説明させていただきたいと思います。

消費税とは国内で行われた消費活動に対して
課せられる税金であるわけですけれども、
今年9月までの規定ではこういった取引が
国内で行われたものかそうではないかにつき、
「役務の提供を行う者の事務所等の所在地」
がどこであるかを、その判定基準としていました。

Yahoo や Google といった検索エンジンの
検索結果画面に自社の広告を掲載してもらうサービスを
申し込んでいる場合には、その支出は当然、
「広告宣伝費」として経費計上されることになります。

この時、従来の判定では Yahooリスティング は
役務の提供をしているサーバーが国内にある為に
消費税の課税対象となって支払額に消費税が課せられますが、
一方の Google はサーバーが海外にあるということで
AdWords のサービスは国外サービスになり
消費税の課税対象外となっていました。

広告宣伝というのは媒体によって得られる効果が違う以上、
これだけを以って有利不利の話をしてしまうのは早計ですが、
少なくとも消費税の負担の有無で言うならば、
Google の方が Yahoo よりもお得です。

どちらも基本的に同じサービスであり受け手が同一である以上、
これは課税の公平や国内産業の保護育成という観点から
明らかに問題がある状態だったと言えるでしょう。

ここを是正する為、消費税法の改正により、
役務の提供に関する内外判定を行う際の基準が
前述した従来のものから「役務の提供を受ける者の住所等」
変更になったのが2015年10月1日でした。

Yahooリスティング も Google AdWords も
国内の事業者がそのサービスを利用している場合には、
改正後の基準による判定で国内取引となって
どちらも課税仕入れとして取り扱うことになる、
つまり、仕入れ税額控除の対象となることになりました。

では、Google からの実際の請求額や支払額が、
これまでのものに消費税8%を上乗せされた
「税込」金額に今後は切り替わっていくのでしょうか。

例えば、Google AdWords に対して
毎月10万円の支払いをしていたようなケースにおいて、
10月以降は請求額に消費税が上乗せされて
10万8千円に変わっていたりするのでしょうか。

実は、そのようなことはありません。

役務の提供者たる国外事業者の側については、
日本の税務署に対して提供したサービス分だけの
消費税の申告と納税をしてもらえばいいわけですが、
役務の提供を受けた側で同額が控除されなければ
それは消費税の2重課税ということになってしまいます。

そこで導入されたのが「リバースチャージ方式」という
消費税等の仕入税額控除の計算方法です。

そう言われてもそれがどういう内容なのか、
どういう方法なのかが英語表記では
良く分からないと思われるかもしれません。

直訳、適語訳ではありませんけれども、
この場合の「リバース」は「逆算」のことを
「チャージ」は「課税」のことを指しているので、
これを日本語に訳すとするならば、
「消費税額逆算計上方式」とでもなるでしょうか。

つまり、前述の例を使うならば Google AdWords に
支払われる10万円を税抜き価格とみなして、
そこから逆算して消費税額の8千円を算出するのです。

ただし、この方式の適用を受けても Google AdWords に
支払うのが税抜の10万のみというのは変わりません。

では、算出された8千円の消費税はどうするのか。

実は、これについては給料の源泉所得税のように
サービスの受け手側がそれを一時的に預かる
という処理をすることになっています。

ここまで書いた内容を読んでいただいた方は
預かった以上は国に納付しなければならないはずだから、
結果的に、10万円しか支払わなくて良かったものが
10万8千円の負担をしなければいけなくなることと
何ら変わらないのではないかと思われることでしょう。

実際には預かった消費税等と同じだけの
控除税額も発生することになるのですが、
既に今回のエントリーもかなり長くなっているので
この辺りは近日、仕訳例を挙げながら
改めて説明させていただきます。

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マイナンバーを悪用した詐欺

2015年10月08日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

ニュースで報じられていたので
それをご覧になった人も
いらっしゃることと思いますが、
「マイナンバー」に係る
詐欺事件が早速発生したそうです。

被害者は70代の女性で手口としては、
まず公的相談窓口を騙る者から電話があって
ニセのマイナンバーを通知されたそう。

その後、別の者から「公的機関に寄付するのに
マイナンバーを貸してくれ」という電話があり、
疑わずに素直に教えてしまったところ、
その機関を名乗る電話があって
マイナンバーを他人に使わせたことは犯罪であり
その記録を消す為に料金の支払いが必要だとして
現金の要求を受けたということでした。

一見して色々と突っ込みどころのある手口ですが、
それでもこの女性が2回の支払をしてしまったと
報じられていることから分かるのは、
説得力のある話し方をされたならば
そういうものかと騙されることもあるということ。

マイナンバーは通知カードが書留で郵送されてくるので
決して電話で番号が告知されることは無いということ、
公的機関等からマイナンバーを電話で
聞かれることは無いというということの2点くらいは
知っておいてほしかった項目ですけれども、
結局のところこれは政府サイドのミス、
周知不足による被害発生ですよね。

とはいえ、この女性に対して何らかの
補償がされたりはしないでしょうが……

マイナンバー通知カードの発送も
そろそろ開始されようかというところですし、
皆様も、ご自身のマイナンバーの管理には
くれぐれもご注意ください。



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4,000円?

2015年09月10日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

飲食料品への軽減税率適用をやめ、
8%から10%に増税する差額の
2%分を還付する方法を
政府が検討していることを、
7日のエントリーで書きました。

今回はその続報なのですが、
政府案として新聞等に報じられた
還付を受ける為の方法について、
簡単に書かせていただきます。

来年1月から運用が開始されることになっている
マイナンバー制度で発行を受けられる
個人番号カードを持っていることが前提で、
飲食料品(酒類を除く)を購入するごとに
その2%相当の「軽減ポイント」をカード内の
ICチップに記録していくというのがその仕組み。

一定量ポイントが溜まったところで
本人名義の銀行口座を指定すると、
そこに還付が入金されるそうなのですが、
これは例えば商店街の八百屋や魚屋、
売上をつるしたザルに入れているような店にも
「個人情報カード」の書き込みができる端末の
購入を迫る政策であるとも言えます。

ただでさえ経営の厳しい個人商店主に
余計な出費を強いることになるのだとしたら、
それはどうなんだ、という話しですよね。

そもそも「個人情報カード」は現時点では
任意取得ということになっていたはずで、
そこにきてこの方針というのは
ちょっとおかしいのではないかと思われます。

また、この還付についても、その金額に
1人あたり年間最大4,000円という
上限を設けるというのですが……、
これを目にした時には月額4,000円か、
もしくは桁の間違いではないかと思いました。

これを購入費の税抜金額に換算すると
年間20万円ということになるので、
つまり毎月約16,600円ですね。

ここで言うところの「1人あたり」というのが、
「個人情報カード1枚につき」ということなのか
「その世帯を構成する1人ごとに」なのかで
この限度額の意味合いも変わってきますが、
その食材購入が、自分1人が食べる為のものか
家族全員で食べる為のものなのかなんてことは
いちいち確認することもできないだろうと考えれば、
これは前者であると考えるのが正解でしょうか。

家族が多ければ、複数の「個人情報カード」を使って
還付を少しでも多く受けるという対策も取れるので、
結果的に後者になる可能性もありますけれども、
誰のカードでその時点でいくら買っているのかを
まめにチェックする必要が生じるでしょうし、
(家族とはいえ)他人の「個人情報カード」を
持ち歩くようになることは、明らかに問題アリですよね。

マイナンバーで家族構成も管理しようと思えば
できるはずなので、それと紐づけるという手も、
やれなくはないのでしょうけれど。

個人的にはこの政府案に対しては
全くリアリティーが感じられません。

これが現実化した場合、私が「個人情報カード」を
持ち歩いてレジでの精算ごとに提示して行くか、
と問われると、うーん、それこそ「面倒くさい」から
還付を受けないことを選択してしまいそうです。

マイナンバー情報漏えいを防ぐ意味でも、
その方が少しでも安心できますし。

これは即ち、軽減税率の導入もしなければ
還付も行わないという、財務省にとっては
一番おいしい結果になるということですけど、
この際、それも止むを得ないかと。

いっそ、飲食料品については消費税を
免税にしてしまうということも、
真剣に検討してみてもいいのではないか。

そんなことも考えてしまいます。

一度、個人的にシミュレーションしてみようかな。

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軽減税率の行方は?

2015年09月07日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

麻生財務大臣が外遊先のトルコで、
消費税率の10%に引き上げに合わせ
導入が検討されている軽減税率について、
「面倒くさい」から見送る意向だ
ということを記者団に示したとか。

言いたいことは分からなくもないけれど、
その表現は、どうなんだろうというところですね。

ではその代わりにどういう対策をするのか。

そもそも軽減税率は、消費税というのが
低所得者であるほど収入に対する負担率が
高くなる性格を持つ税金であることから、
増税によってさらに低所得者の生活を
圧迫するのを避けるべく食料品などには
通常よりも低い税率を適用しよう、
ということで導入が検討されるものでしたよね。

報道によると、財務省としては消費者が
飲食料品について支出したであろう消費税の内の、
税率2%分に相当する金額を後程
給付するという形での対応を検討しているそう。

しかし、その方法をとるのであれば、
誰がどれくらい飲食料品購入費を支払ったか、
それをどう把握するのかが問題になりますよね。

領収書などの提出を求めるなんていうのは、
全くもって現実的ではありませんし。

そこで、所得と世帯人数に応じて
こういう収入でこういう家族構成だったら
食費はこれくらいかかるだろうというのを推定し、
その2%相当額を還付するというのが
現時点での財務省案である模様。

税法というのは、極力、恣意性の介在を
排除する方向で作られているはずなのですが、
「推定」という行為には恣意性が入り込む隙が
いくらでもありそうなようにも思えます。

どうやって給付をするのかということも含め、
あちこちに曖昧さが残っているように思えて
そこがいかにも気になってしまうところです。

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マイナンバーと預金口座

2015年08月29日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

ニュースや新聞等でも報じられているので
既にご存知であるという方も
おそらく多くいらっしゃるでしょうが、
マイナンバー制度の利用範囲を
拡大する為の修正案が、
来週には国会を通過しそうだとのこと。

これは、各人が金融機関に開設している預金口座につき
名義人のマイナンバーと紐付けしようというもの。

目的としてはそれぞれの個人資産を把握することで、
それを税金や年金保険料の徴収に役立てて、
不納付や未納を減らしていこうということがあります。

なお、マイナンバーは年金の管理についても
使っていこうと当初から考えられていました。

年金といえば大規模な情報流出も記憶に新しいところ。

流出の経緯が明らかになるにつれて、
素人でも「それはおかしいだろう」と分かるような
緊張感や責任感がかけらも感じられない
年金事務所の個人情報管理体制が
白日の下にさらされることになったわけですが、
ああいう姿を見させられてしまうと、
ここにマイナンバーを扱わせて本当に大丈夫かと
すごく心配な気持ちが湧き上がってきてしまいますよね。

それもあって、今回の修正案において
基礎年金番号とマイナンバーの紐付きが
ひとまず延期されることとなるとのこと。

それはそれで判断として間違っているとは思いませんが、
ただ、マイナンバー導入で得られるものの1つである
年金未納および不正受給の解消という目的からは、
大きく後退することになってしまうことも確かでしょう。

年金事務所からデータを盗んだ犯人はそれが目的だった、
そんなことも考えたくもなってしまうところなのですが、
さすがにいくらなんでも邪推が過ぎますね。



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移転価格税制とは

2015年08月24日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

およそ1か月くらい前のことで
あるのに加え、どこでその記事を
読んだか失念してしまったのですが、
確か日経新聞だったかと思うのですけれど、
「移転価格税制」に関する税務当局からの
追徴課税の案件が大企業から中小企業に
広がってきているという記事がありました。

これは1~2年前から言われていた話であり、
それが改めて新聞に載った、ということで、
だからでしょうか、記事のスペースも
ごく小さなものとなっていました。

つまり「移転価格税制」での税務調査はそこまで
目新しい話題ではないということになりますが、
しかし「移転価格税制」と言われても
それが具体的にどういうものかをご存知の
中小企業経営者は少ないだろうと思います。

簡潔に説明するならば、「移転価格税制」とは
「海外の関連企業との間の取引価格の
操作を通じて所得の海外移転をすることを
防止するための税制」
ということができます。

例えば、日本よりも法人税等の税率の低い国にある
子会社に対して国内の親会社が商品を売る際に、
通常の相場金額よりもずっと低い金額で取引をする
といったようなケースを考えてみればいいのですが、
この場合は親会社の計上する利益の金額は
第3者に同商品を同量販売した時のそれよりも
ぐっと少なくなるということが分かると思います。

つまり、税率の高い日本での利益を少なく計上し、
その分だけ税率の低い外国に利益を持って行くわけで、
これは相互取引の価格を自由にかつ恣意的に決め得る
関連企業間の取引の特徴を使った課税逃れに
あたるのではないかと言われる余地が確かにあります。

そのような考えから、こういったケースでの取引が
グループ外の第3者との取引価格で行われたものとして、
売上金額や利益の金額を計算しなおすことで
適正な税額を企業が納めるようにすること。

それが、「移転価格税制」なのです。

なお、上記の「第3者との取引価格」として適正であると
考えられる価格のことを「独立企業間価格」と呼びますが、
しばしばここは税務当局と企業の間で見解が分かれ、
実際、裁判で国が敗訴するケースもあります。

大企業もこの点についてはしっかりと対応して
税務当局とも十分戦えるだけの材料を
揃えるようになってきているようにも思えます。

だから、というわけでもないのでしょうが、
これまで大企業中心に行われてきた
「移転価格税制」に関する税務調査を
中小企業にまで拡大するという動きが
税務当局に見られるようになっているのは、
中小企業を関与先に持つ税理士事務所の
職員としてはちょっと気になるところです。

まあ、この対象となるような取引をしている
関与先様もそうは無いのですけれども。

なお、「移転価格税制」については
「移転価格税制に関する事前確認の申し出」
という制度も存在してはいるのですが、
中小企業には使い勝手が悪い、かな?

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相続の放棄

2015年08月05日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

このブログでは昨年の末からずっと、
今年から大きな改正のあった
相続税に関して書いてきました。

随分と時間をかけてしまいましたが、
相続税計算の基本的な考え方については
簡単ではありますが一通り終えたので、
今回はそれとはちょっと視点を変えて、
「相続の放棄」ということについて
ごく簡単ではありますが説明したいと思います。

被相続人が亡くなった際において
遺言書等で遺志を示していない場合は、
ここでも書いたように被相続人の相続人が
その財産を引き継ぐことになります。

ここで気を付けていただきたいのは、
相続人が被相続人から引き継ぐものは
プラスの財産だけでは無いということ。

相続人は法律上の地位を承継する、
というのが法律の規定なのですが、
これは債権だけを指しているのでは無くて
債務をも含んでいるのです。

相続人は亡くなった人の
一切の権利義務を承継する。

これが、原則です。

つまり、不動産や有価証券、預貯金といった
プラスの財産を相続する際には、
借入金や未払金といった債務の承継も
セットでついてくるということです。

プラスの財産だけもらいたいというのが
人情というものでしょうけれども、
さすがにそんな甘い話はありません。

マイナスの財産がプラスよりも多い、
あるいは、事情により相続を受けるつもりが無い、
というような場合には相続人としての地位を
放棄するということも可能です。

これが、「相続の放棄」です。

放棄をしたい場合には被相続人の住所地を
管轄する家庭裁判所への申請が必要で、
「相続開始を知った日から3ヶ月以内」
というのが提出期限となっています。

この、「知った日」というのがポイントで、
「相続の開始した日」=「被相続人が亡くなった日」
ではないということは覚えておいてください。

なお、相続人が自分しかいない状態で
相続の放棄をした場合には、
後順位の相続人が被相続人の財産債務を
承継するということになります。

被相続人が多大な借金を残して
亡くなってしまったというケースでは、
被相続人が相続の放棄をすることが、
意図せずして他の者に借金などの債務を
押し付けることにもなりかねません。

ですので、あらかじめそういった親戚関係にも
自分が相続の放棄をすることと、
その人も放棄をした方がいいのではないか
ということを伝えておいた方が
人間関係が不穏になることを防ぐ意味でも
いいのではないかと思われます。

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延納・物納・連帯納付

2015年06月21日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

相続税につき、前回はその税額が
どのように計算されるのかを、
言葉だけで分かりにくかったかも
しれませんけれど説明させていただきました。

今回は、申告には付き物である納税義務者の行為、
税金の納付についてざっと書いてみようと思います。

まず基本的な話として、相続税にしろ贈与税にしろ、
その税額については申告書の提出期限まで
あるいは納付すべき日に金銭で一括納付する、
というのが納付の大前提となっています。

しかし相続財産や贈与財産には
不動産や経営権を引き継いだ事業資産などの、
納税資金のために換金するのに時間がかかる、
あるいは家業を継続する為に必要なものがあり、
手持ちの現金が無い場合にはこれをどうにかして
現金化させて納付しなければいけないとするのは、
現実味も薄く、また酷な話でもあります。

そこで、金銭一時納付が困難であると認められる
納税者に対しては一定の条件の下で、
相続税法では2種類の特例を規定しています。


それが、「延納」であり、「物納」です。

内容的には名前の通りの物ではあるのですが、
それぞれ簡単に説明しておくとしましょう。


相続税と贈与税の両方に適用がある「延納」
金銭により一時に納付することが
困難であると認められる税額について
一定の年額による分割払いするという制度で、
その年数および各回の納付額については
算出方法が厳密に規定されています。

なお、納税義務者の申請を受けて
税務署長が延納の許可をする場合には、
一定の場合を除きその延納税額に相当する担保を
納税義務者から徴することとされています。


もう1つの「物納」は相続税にのみ適用がある手続きで、
「延納」によっても金銭一時納付が困難である場合に
「延納」同様に納税義務者が申請をすることで
金銭に代わって相続税の課税財産(一定のものは除く)を
税務署に納めるというものになります。

とはいえ、何でも物納に回すことができるわけでは無く、
その種類と優先順位については法律の中で
はっきりと規定されていることも覚えておいてください。


また、「延納」や「物納」とはちょっと異なる話ですが
同一の被相続人から財産を取得した者に関しては、
例えばその内の1人が納税を行わないという場合に
その取得した財産の額を限度として
その者の代わりにその者の税額を納めなければいけない、
「連帯納税制度」というものも存在しています。

本来であれば当然納められるべきである
相続税や贈与税が納められないということに対しては、
税務署によりかなり厳しい対応が行われます。

親族関係に迷惑をかけない為にも、
金銭でそれを期限に納付することが難しければ、
状況に応じて「延納」や「物納」制度の活用を
検討してみなければいけないと思います。

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相続税の税額計算

2015年05月17日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

これまでこのブログでは相続税につき、
その財産を受け取るのは誰なのか、
財産はどのように分配されるのか、
どのような財産が課税対象になるのか、
ということを書いてきました。

今回は、相続税について、その税額が
どのように計算されるのかについて
簡単に説明をしたいと思います。

相続税の課税価格は、ここで書いたように
大きく3つに区分される財産の
それぞれの価額を合計したものであり、
これをその相続に係る相続人等
遺言に従い、または相互の協議により
何をどれだけ引き継ぐのかを決めるわけです。

そうして各人の取得財産が確定すれば、
今度はそれに対して課せられることになる
税額がどれくらいなのかという話になります。

例えば所得税だとその税額は
その納税者が取得した課税所得の額に
税率を乗じて求めるのですけれども、
相続税は個々の納税義務者の取得財産の
課税価格に税率を乗じるのではありません。

では、どういう計算が行われるのか。

端的に言えば、被相続人が所有等していた
相続財産全体に対する税額がまず確定し、
それを、それぞれの相続人等が
自分が取得した財産の割合に合わせて
負担、納付するというやり方です。

ただし、例えば亡くなった方の相続人が
配偶者1名のみしかいないというような場合と
配偶者と子供3名の計4名いるという場合で
相続税の合計額が同じというのも変な話です。

そこで、実際の相続税の計算は、
次のような過程を経て行われます。




1)
まず最初に、各相続人等の取得財産の価額の
総額である「課税価格の合計額」から
「遺産に係る基礎控除額」を差し引きます。

2)
基礎控除を差し引いた後の残額については、
それを実際に誰がどれだけ取得したかに関わらず、
「法定相続人」が民法に規定されている
相続分どおりに分割したものと仮定します。

 なお、法定相続人とは、相続の放棄が
 なかったものとした場合における
 被相続人の相続人のことを言います。

3)
上記の、仮定された法定相続人の相続財産額、
つまり「法定相続分に応じる各取得金額」
国税庁HPのここに一覧が記載されている
超過累進税率を乗じることで、
それぞれの法定相続人の相続税額を算出します。

4)
その後、算出された税額を一旦合計し、
以って相続財産全体に対して課せられる
「相続税額の総額」とした上で、
それを、実際に財産を取得した者に対し、
取得した財産の課税価格の割合で分配し、
各人の「算出相続税額」が算出されます。




ここから更に、それぞれの相続人等について
対象となる税額控除が適用されて
最終的な納付税額が確定されるのです。

こうして言葉で書いただけでは
分かりにくいかもしれませんが……

こういう面倒な方法になっているのは
全て「課税の公平」を保つ為であり、
相続税額の算出に納税義務者の恣意性が
介在することになるのを防ぐのが目的です。

この辺りは、説明をしだすと長くなるので
今回は割愛させていただきますけれども、
何の意味も無く、ややこしい方法が
採用されているわけではないということは
承知しておいていただければと思います。

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「相続時精算課税」

2015年04月26日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

確定申告業務などもあって
少し間が開いてしまいましたが、
相続税に関する概要説明を
続けていきたいと思います。

今回は、前回に引き続き贈与税の話の第2弾、
一般的な方法ではないもう1つの計算方法、
「相続時精算課税制度」について説明いたします。

これはどういったものなのかというと、
読んで字のごとく、「相続」が発生した「時」
改めて「精算」が行われる方法で「課税」される
贈与税の「制度」ということです。

これに対して一般的な方法のことは
「暦年課税」という呼び方をします。

もう少し具体的に書きましょう。

贈与税というのは以前に「生前贈与加算」の
説明をした際にも書かせていただいたように
相続税の補完的な意味合いを持つ税目です。

その為、「暦年課税」による贈与税は
相続税の課税逃れを防ぐ目的から税額が高く、
かつ、課税価格が上がるにつれて税率も上がる
「超過累進課税」が採用されており、
つまり、なるべく生前贈与を行わせないように
設けられたと言うこともできるものでした。

それに対してこの「相続時精算課税」は
日本経済の活性化、消費の拡大の為に、
世代間の財産移転を促進する目的で
平成15年1月1日に創設されたもの。

つまり、上の世代から下の世代へ
相続開始前に財産を受け渡してもらい、
子育て費用、教育費用などに
使ってもらおうという狙いであり、
むしろどんどん贈与をしてもらいたい
という制度内容となっています。

この制度を選択できるのは以下の場合。

贈与をした者がその年の1月1日に
60歳以上であることと、
贈与を受けた者がその贈与をした者の
子供または孫であって同日において
20歳以上であることの両方を満たし、
かつ贈与税の申告期限までに税務署に
この制度の利用を届け出る必要があります。

細かいことを言えばもう少しあるのですが、
大まかな理解としては、こんな感じです。

なお、相続時精算課税を選択した場合は、
その贈与者(「特定贈与者」といいます)から
その年以降に贈与を受けた財産については
全てこの規定の適用を受けます。

一旦この制度の適用を受けた後に、
やっぱりやめて普通の贈与税の計算に戻す、
というようなことはできません。

相続税の前払的な性格を持つ制度なので、
この相続時精算課税の贈与税は
一般のものと違って、各特定贈与者ごとに
その者からの贈与だけを課税価格にして
計算されることになります。

また、そういう性格のものなので
「精算課税」では贈与税の計算時に
財産の価額から差し引ける控除額が
一般の110万円よりもずっと多く、
2,500万円となっています。

ただし、これは毎年2,500万円まで
非課税になるということではありません。

この2,500万円は財産をもらう人が
その特定贈与者から受ける贈与について
一生で使える控除の総額であり、
前年以前にこの特別控除の適用を
受けた金額がある場合には、
2,500万円からその金額を差し引いた
残額がその年の特別控除限度額となります。

また、もともと相続時に精算されることを
前提としている制度ですから、
相続税の課税価格を計算する際には
「暦年課税」のように相続開始前3年間と
いうような限定をされることなく、
相続時精算課税制度の適用を受けた
贈与財産の全てが相続税の課税価格に
加算されることになります。

相続税の前払の性格を持つ制度ですので
税率も仮計算的に、一律20%となっていますから、
そこも、「超過累進税額」の「暦年課税」とは
大きく違っている点の1つです。



ちなみにこの制度を使うことが有利かどうかは
その状況によって変わってきますので、
単純に言い切ることはできません。

個々のケースごとにしっかりと試算をして
検討の後に結論を出すべきでしょう。

上の世代から下の世代への贈与については、
これ以外にも幾つか、例えば昨年話題になった
教育資金の贈与に関する特例などの
贈与税額が低くなる規定もありますし、
一度、プロに相談するのもアリだと思います。

私の勤務先である宮内会計事務所でも
相続対策のご相談は受け付けておりますので、
よろしかったらご検討下さい。

カテゴリ : 税金・税法
テーマ : 税金 ジャンル : 政治・経済

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