三鷹駅南口 (武蔵野市、吉祥寺)、とある税理士事務所職員の日常 読書

「波の手紙が響くとき」

2017年03月16日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

オーディオルームの設計やメンテナンスを
主要業務とする武佐音響研究所に持ち込まれる
様々な依頼を、天使の声帯を持つ所長の佐敷裕一郎、
口の悪い音響技術者の武藤富士伸、
雑用係の鍋島カリンという3人の所員が
音響的な知識や技術を駆使して解決して行く物語。

それが、オキシタケヒコの「波の手紙が響くとき」です。

本作は、短編・中編合わせて全4章からなっていて、
この内、第1章はSFというよりもミステリーという印象が強く、
なんでこれが「ハヤカワSFシリーズ Jコレクション」から
出ているのかと、正直、首をひねったりもしました。

しかし、その後、物語を読み進めて行くにつれ
分かったのですが、なる程、これが確かにSFです。

登場するキャラクターが多少ステレオタイプに見えるのが
いかにも気になって仕方がないところになりますし、
そのわりに今一つキャラ立てできてない部分もありますが、
概して、いい感じの関係が描かれていたと思います。

私は結構な音楽好きでコレクターですが、それだけに、
音楽が(更に言えば「音」が)人に及ぼす影響は感じてます。

実際、テンションを上げる為にはこういう音楽、
落ち着いた気分で疲れを抜くならこういう音楽といった、
自分にとって定番のミュージシャンや楽曲もあります。

ですので、本作後半に観られる展開は、
明らかなフィクションではありつつも
あながち無茶苦茶な展開でも無いなという、
一定のリアリティーを感じさせるようなものでした。

その辺がSF的であり、本作の面白かったところです。

音楽が人の感情に働きかけるモノが大であるならば、
「いずくんぞ〇〇に対してをや」ということですね。

なお、物語はこの1冊で一応の完結を見ているものの、
佐敷所長の実家関係のアレコレが片付いていない等、
これから先に続けられる要素も幾つかあるので、
まだまだこの設定で様々なエピソードを書いて
続巻も出してほしいなと個人的には感じました。

それが叶うかどうかは分かりませんけれども、
可能性はゼロでは無いと信じたいところです。

 波の手紙が響くとき
 (2015/5/22)
 オキシ タケヒコ
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「十二人の死にたい子どもたち」

2017年03月05日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

第156回直木賞のノミネート作品にもなった
冲方丁の「十二人の死にたい子どもたち」という作品は、
本屋大賞を受賞した「天地明察」等で知られる
著者が初めて手掛けた現代長編ミステリーとのこと。

この作品はそのタイトルを見れば分かる通り
レジナルド・ローズの「十二人の怒れる男」と、
そのオマージュとして製作された
三谷幸喜の「12人の優しい日本人」を踏まえて
書かれたものであることは明白です。

そう言えば以前にどこかのインタビューで
冲方丁が「十二人の怒れる男」のことを
絶賛していたような記憶があります。

特にそれを意識しての事では無いものの
図らずも作家生活20周年記念作品となったと
自身のブログに書かれていたのですけれども、
そこには、本作は発案してから書くまでに12年、
更に雑誌に1年ほど連載するという過程を経て、
ようやく形になったとも書かれていました。

それだけ、大事にしてきた構想ということですね。

そういえば、「天地明察」も彼がまだ学生だった頃から
いつかは書きたいと思い描いていた題材だったはず。

そういう、自分の中で大事なテーマについては
かなり慎重に、長い期間をかけて構想を練る傾向が
冲方丁という作家には、あるのかもしれませんね。

本作は、元になっている作品が作品ですから
閉鎖環境に集まった十二人の子どもたちが
議論を繰り広げて行く物語になっているだろうとは
読み始める前から容易に想像ができていました。

ただし、舞台は法廷ではなくて廃業された病院。

登場する人物達は裁判で呼ばれた陪審員ではなくて
自ら集団安楽死を望んで集まった少年少女。

そこに違いがあっても基本的なラインは変わらないなら
物語の流れもおおよその見当はつけられるので、
そこから逆算して、各キャラクターの言動を
観察するように読み進めていくことになった結果、
ラストの展開や某登場人物の立ち位置も事前に
割と予測できてしまったのは、否めないところ。

もし「十二人の怒れる男」や「12人の優しい日本人」の
内容を事前に知らない状態であったならば、
凄く新鮮な気持ちで読めたかもしれないと思えば
そこはやや残念かもしれないのですけれども、
とはいえ、面白く読ませてもらいましたので
そこもとりたてて大きな問題にはならなかったと言えます。

 十二人の
 死にたい子どもたち

 (2016/10/15)
 冲方 丁
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「深紅の碑文」

2017年02月22日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

地球全土に大氷河期をもたらすと予想される
地球内部の熱循環であるプルームテクトニクスが
引き起こす壊滅的な環境変動 <大異変> が、
早ければ数十年後に現実のものとなることが
科学的に確実となってしまっている世界。

つまり、人類の滅亡が確定している世界で、
それでもわずかなりの希望の為に少しでも
最善の道を辿ろうともがく人々を描く作品です。

世界と人類の終焉が確定というのが大前提なので、
暗く重苦しい内容や語り口は致し方ないことでしょう。

同じ世界、登場人物が出てくるシリーズ前作の
「華龍の宮」ではそれでも、<大異変>後の世界に
人がいかにして生き残るか、という部分にも
多少は焦点が合っていたような印象があるのですが……

本作は、目前にある避けえないカタストロフィーに対し、
陸上民と海上民の、そしてそれぞれの中でも対立する
人々の争いをどうやって終わらせるのか。

そういう、ネゴシエーション的なところが
クローズアップされた物語になっています。

奇跡的な解決策や技術革新ということではなく、
99%以上の確率で負け戦になると分かっていて
それでもなお抗い続ける人の姿を描くことが
この作品のキモになる部分というわけですね。

そこに物語的な意味でのカタルシスは無いのですが、
じわじわと心に迫ってくるもののある作品だと感じました。

 深紅の碑文(下)
 (2016/2/24)
 上田 早夕里
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「凶器は壊れた黒の叫び」

2017年02月13日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

各所で高い評価を得ているシリーズの最新作は、
どうしても刊行前から高い期待を寄せられる
宿命を背負ってしまうものですよね。

そのような作品の場合には、読者からのその期待、
課せられたハードルに応えられているのかどうか、
また、陳腐でありふれた展開に堕ち込むことなく
物語に新鮮さを提供し続けていられるかどうか、
そこが大きな鍵になってくると私は思います。

いわゆる、「予想は裏切り、期待は裏切らない」という
しばしば言われる目標を達成できているかどうかです。

それを踏まえつつ、読んでみた本作。

話はかなり動いて、これまで描かれた人間関係に
大きな変化が訪れそうな予兆が描かれました。

不安定で不条理で優しい場所である階段島が
これからどういうふうになっていってしまうのか、
そこで暮らす「自分に捨てられた」人達がどうなるのか、
物語はどんどんと加速度を増しつつあります。

期待値に比して100点満点とは行きませんでしたが、
まずまず、いい感じの1冊となっていました。

作者インタビュー等によればどうやら「階段島シリーズ」は
その構成的に折り返し地点を過ぎているらしいのですが、
おそらく、起承転結で言えば「転」の序盤くらいには
なっているのではないかと思われますので、
この感じだと全6巻か7巻くらいになるのでしょうか。

 凶器は壊れた黒の叫び
 (新潮文庫nex)

 (2016/10/28)
 河野 裕
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「魔術師のおい ナルニア国物語 1」

2017年02月05日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

岩波書房から瀬田貞二さんの翻訳で出ていた
ナルニア国物語のシリーズが光文社から
新訳で出はじめたのは、昨年の9月のこと。

岩波版が出版順にナンバリングされるのに対し
こちらは作中の時間軸に沿った順番という違いがあり、
岩波版で1冊目になっていた『ライオンと魔女』は
こちらでは『ライオンと魔女と衣装だんす』として
シリーズ2冊目として刊行されています。

幼少時から瀬田訳に馴染みきっている身としては
新訳といわれて、まず不安を覚えてしまうのですが、
実際に実物を読んでみた限りでは、まずまずという感じ。

岩波版が今では絶版になったわけでもないのに
別の出版社から新訳版が出ることになったのは、
C・S・ルイスの著作権が切れてフリーになったのかと
思って調べたところ彼の没年は1093年11月22日。

日本において法律で保障される著作権は没後50年です。

ルイスが亡くなったのは第二次大戦が終わって
サンフランシスコ講和条約が交わされた後ですから、
約10年半(ルイスの母国イギリスの場合で3,794日)の
戦時加算も無い為、単純計算で2013年末までですね。

やはり、今はもう著作権がフリーになっています。

翻訳者の違いというのは結構大きな要素ですが
そこまで違和感を覚えずに済んでいますから、
これなら光文社版で買い揃えるというのもありかも。

 魔術師のおい
 ナルニア国物語 1
 (古典新訳文庫)

 (2016/9/8)
 C・S・ルイス
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「泣くなブタカン! ~池谷美咲の演劇部日誌~」

2017年01月25日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

「泣くなブタカン! ~池谷美咲の演劇部日誌~」は
これまでここで紹介してきた第1作および第2作
続く、このシリーズ3冊目にして、最終巻となる作品。

前2作品で強烈な個性を放っていた先輩たちが卒業し
3年生になった主人公の演劇部生活を描く本作。

今回は帯にも背表紙のあらすじ紹介にも
「青春ミステリ」の文字が無かったのですが、
全4章がそれぞれ軽く謎解形式にはなっていて、
一応「日常の謎」系と言えなくもないう感じ。

青春部活モノとしてはきっちりと楽しませてくれましたし、
個人的にはもともと第1作目の時点から、
これをミステリーと称することには疑問を持っていた
というのもあるのですが、ストーリーを楽しませる、
という点ではしっかりしているので、問題無しです。

高校生活と、そこで力を入れていた部活道との結末を、
よくあるような美辞麗句的なものに終わらせずに
一定のリアリティーを持ち込んできたのが、いいですね。

具体的に書くのはネタバレにもなってしまいますが、
そこを敢えてちょっと触れるとするならば、
例えば大学受験と部活動のどちらを優先すべきかとか、
高校卒業後も演劇を続けようと考える人が
どれくらいいるのだろうかとか、そういった話です。

もともと出だしからして、いくら高校演劇とはいえ、
経験の全く無かった人間が突然舞台監督なんて
重要な仕事をこなせるものだろうか、
というリアリティー欠如に関する疑問を
内包して始まっているシリーズでしたけれども、
それも、このラストで差引プラスになった、かな?

 泣くなブタカン!
 ~池谷美咲の演劇部日誌~

 (2016/11/28)
 青柳 碧人
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「世界が終わる前に BISビブリオバトル部」

2017年01月15日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

参加者が自分の好きな本を1人5分で紹介し、
2~3分の質疑応答を経て発表者と聴衆の投票で
どの本を読みたいと思ったかの1位を取得することを
競い合うビブリオバトルを題材にしたシリーズの、
3作目が「世界が終わる前に BISビブリオバトル部」。

今回は冒頭の100ページが以前に外伝的に発表された
中編となっており、それは既に以前に読んでいました。

なので、全340ページというこの3作目は実際には
100ページ+240ページという構成になるのかなと
読み始める前には思っていたのですね。

そんな本作、今回はミステリに寄せた内容。

登場人物たちが発表する本のジャンルだけでなく
ストーリー自体も、その要素が濃くなっています。

その上で、前述の100ページの中編がそこに
上手く取り込まれているのがいい感じで、
こう来たか、と、大いに楽しませてもらいました。

一応、両者は別エピソードという扱いにはなっていて
この本の中でも区分されているのですけれども、
これは1冊全体を併せて一つのエピソードとして
読まなければいけないものだと言えるでしょう。

こういうページ割り付けをされている本を買って
最初の中編を飛ばしていきなり後半から
読み始めるという人もいないとは思いますが、
作者があとがきで念を押しているように、
本作は、絶対に順番通りに読むべきです。

今回も安定して面白かったので、大満足です。

 世界が終わる前に
 BISビブリオバトル部

 (2016/2/27)
 山本 弘
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「カムパネルラ」

2017年01月07日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

本屋でその書名を見かけた瞬間に即座に手に取って
購入を決めたのが、今回紹介しようと決めた
山田正紀の長編SF作品である「カムパネルラ」。

「カムパネルラ」というのが何なのか分からない
という人はあまりいないと思います。

改めて言うまでも無く「カムパネルラ」とは
宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」に登場する、
主人公ジョバンニの親友にして彼と一緒に
幻想四次の銀河鉄道に乗る少年の名前です。

本作は、作者が賢治と「銀河鉄道の夜」に題材を得て
架空の日本を舞台にした描いたディストピアSFであり、
もともと幼少の頃から賢治の作品が好きで
ちくま文庫版の全集も所有している私ですので、
SF好きで賢治好きとして読まないわけにはいきません。

この「カムパネルラ」のキモは「銀河鉄道の夜」の
初期稿と一般に知られている第四稿との間に
存在する内容の大きな変化にあります。

そこに、同じく賢治の死後に発表された「風の又三郎」と、
その原型となる作品ではあるものの内容は大きく異なる
「風野又三郎」との相違を絡めてきた本作には、
なる程、あれをこう料理してくるのか、と唸らされたましたし、
非常に面白く、かつ刺激的に読ませてもらいました。

そう考えると本当の意味できっちりと楽しんで読むには
事前学習的にそれらの作品を読んでおく必要がありそうで、
そういうものをいきなり他人に薦めていいものかという
ところには、やはり躊躇を感じないわけではありません。

ですが、面白いものは面白い、という基本的大前提に則り、
そこを敢えて、このブログでも紹介させていただきました。

なお、「銀河鉄道の夜」の第三稿や「風野又三郎」は
ちくま文庫から出ている宮沢賢治全集であれば
今でも簡単に読むことができる、ということを
最後に付記して、今回のエントリを終わります。

 カムパネルラ
 (創元日本SF叢書)

 (2016/10/10)
 山田 正紀
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「宰相の二番目の娘」

2016年12月29日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

アラビアンナイトを底本にした「宰相の二番目の娘」は、
以前に紹介した「たんぽぽ娘」を書いた
ロバート・F・ヤングのライトタッチSFファンタジー。

展示の為のロボットを製作する為に過去に
タイムトラベルして歴史上の重要人物を
一時的に拉致してくる仕事に従事する主人公が、
「千夜一夜物語展」の実施に必要とされた
シェヘラザードではなく、妹のドニヤザードの方を
誤って攫ってしまったことから始まる冒険譚です。

内容的には非常にベタなストーリーで、
こうなればこうなるよね、というオーソドックスさを
しっかりと踏襲した展開となっています。

当然、主人公とドニヤザードの間には恋愛が生じますが、
そこにはそれぞれが生きる時代の違いがあるわけで、
そこがどうなるか、どのように乗り越えていくのか……
というところが1つの大きな読みどころになるわけです。

が、全体的にお約束を外さない流れがあるからか、
全く心配もハラハラもなく最後は大団円となっていました。

そもそも、ラストには様々な描写も最初から薄めだ
というのもあって、盛り上がりという点で言えば
大いに欠けるところがあったのがちょっと残念です。

何だか、取ってつけたようにも見えてしまうんですよね。

が、全般的には「時間モノSFにハズレなし」という言葉が、
今回もまた証明されたかなという印象があります。

ただ、「ハズレ」は無かったかもしれないけれど
「大当たり」でも無かったとも言えそうで、
要するに小ヒットなわけですが……

とはいえ、面白いことは面白いですし、
安心して読める定番的な物語です。

 宰相の二番目の娘
 (創元SF文庫)

 (2014/10/31)
 ロバート・F・ヤング
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

「放課後スプリング・トレイン」

2016年12月21日  
吉祥寺(武蔵野市、三鷹市)の税理士事務所、
宮内会計事務所に勤める税理士の卵です。

「日常の謎」系の青春ミステリー好きの血が騒いで
手に取ったのが、第23回鮎川哲也賞の最終候補で
書下ろし文庫作品として発売されたという
吉野泉の「放課後スプリング・トレイン」です。

ちなみに、これが作者のデビュー作。

福岡の街を舞台に主人公が通う高校や彼女の周囲で
起きる事件をクラスメイトの友人のの彼氏の友人として
知り合った大学院生の力を借りながら解決するという、
全部で4つの物語からなっている短編集になります。

フォーマットとしても、内容としても、ジャンルの王道であり
どこから見てもベタな設定だと言っていいでしょう。

あとは、個々のキャラクターに魅力があるかとか
学生生活をどれだけ生き生きと描けているかとか
細かいエピソードが面白いものになっているか、
といったようなところが重要ポイントになりますけれど、
ちょっと甘めの採点ではあるものの本作は及第点。

あとがきで作者は「初めて書いた物語の舞台が
福岡であったのは、ホームシックになっていたから」
と書いていますが、掲載されているプロフィールによると
どうやら福岡生まれの九州大卒のようです。

また、自分の良く知る場所を題材にして作品を書くのは
持ち込みだったり賞への投稿だったりという場合には
物語にリアリティーを出す手堅いやり方でもあるでしょうから、
それはむしろ鮎川哲也賞の選考過程において
プラス方向に働いていたのかもしれません。

とりあえず、本作の出来は悪くなかったので、
これの続編か、あるいはまったく別の作品か、
どちらにしても次回作も読んでみようかなと
そんなことを感じた1冊となりました。

 放課後
 スプリング・トレイン
 (創元推理文庫)

 (2016/2/27)
 吉野 泉
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カテゴリ : 読書
テーマ : 読んだ本の感想等 ジャンル : 小説・文学

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武蔵野市吉祥寺にある税理士事務所、宮内会計事務所に勤める税理士の卵のブログです。
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